企業による結婚支援を後押しするため内閣府の有識者検討会が示した提言の素案に対し、見直しを求める声が出ている。既婚者が独身者に助言する「婚活メンター(良き指導者)」を配置する案などに対し、女性支援団体などは「独身者へのハラスメントになりかねない」と批判している。
提言は20日にもまとめる方針。素案では「結婚や出産の押しつけは厳に避けるべき」とした上で、企業や大学による「自主的な取り組み例」として婚活メンターの配置や独身者向け交流会の開催などを列記した。
民進党が13日に開いた会合では、女性支援団体が提言に反対する署名が8千筆を超えたと報告。「独身社員との交際を執拗(しつよう)に勧められ、職場に行くのが苦痛になった」といった実体験を紹介した。性的少数者への差別解消を求める団体も「結婚は当然という風潮が性的少数者を追い込む」と訴えた。
検討会の委員でもある労働政策研究・研修機構の内藤忍研究員は「職場は上司や先輩の助言に従わなければ不利益が生じうる場所。プライバシーに立ち入る制度を国が推奨するのは避けるべきだ」としている。(伊藤舞虹)