NPO法人「ギャンブル依存ファミリーセンター ホープヒル」の町田政明理事長(奥)に経験を話す元依存症の男性=横浜市旭区、工藤隆治撮影
カジノを含む統合型リゾート(IR)整備を政府に促す「カジノ解禁法」。「ギャンブル依存症などの防止」を明示する修正が土壇場で行われたが、依存症経験者は「ギャンブルの裾野がさらに広がるだけだ」と語り、拙速な解禁に疑問を抱く。国会論戦で取り上げられた暴力団の資金源化などへの懸念も積み残しのままで、実現への課題は山積みだ。
カジノ法が成立 未明に衆院採決 年金抑制法も成立
「自分が依存症だなんて、やっている頃は思ってもみなかった」。横浜市の飲食業の男性(46)は、パチンコとパチスロに明け暮れた20~30代を振り返る。
幼い頃に父を迎えに行ったパチンコ店の雰囲気が忘れられず、大学合格後、受験勉強からの解放感でパチンコ店へ。最初の負けを「取り返そう」と通い始め、5千円勝って「こんなに短時間に稼げるとは」と味をしめた。半年後には家の生活費を盗み、バイト代は借金返済に消えた。父親が消費者金融のカードにハサミを入れたが、「カードを無くした」とうそをついて借金した。
就職後もパチンコ通いは止まらない。仕事で嫌なことがあると「ガーッとアタマに来て」、またパチンコ店へ。借金は300万円に膨らんだが、逆に負けを取り戻す時の高揚感がたまらなかった。父ががんになった時は「お金があれば不安がなくなる」とパチンコ台に向かい、ついに、父への香典に手をつけて兄弟に絶縁された。結婚後も妻との旅行資金や勤め先のお金を使い込み、妻から「やめないなら離婚」と言われた3日後、妻のバッグと結婚指輪を質に入れてパチンコ店へ行った。
依存症を疑った妻が、横浜市の…