上野被告の畑から大麻草を押収する麻薬取締官ら=10月20日午後、鳥取県智頭町、斉藤智子撮影
大麻の摘発が増えている。今秋には、鳥取県から町おこしを目的に「産業用大麻」の栽培者免許を受けていた同県智頭(ちづ)町の会社代表の男が、乾燥大麻を所持した容疑で逮捕された。男は大麻の栽培講習を開き、他県から参加した公務員らも同容疑で逮捕された。12日にあった男の初公判で検察側は、男が遅くとも2003年ごろから大麻の使用を始めていたと主張した。
「西日本で唯一の見学可能な麻畑」。智頭町の「八十八(はちじゅうはち)や」はホームページなどでこう呼びかけ、大麻草の栽培講習への参加者を全国から募ってきた。
同町八河谷(やこうだに)にある約1・3ヘクタールの畑の一部で14年春から始めた、3~12月の10カ月に及ぶ「麻畑体験年間コース」。11回にわたり、種まき、間引き、繊維採取、株や種子の刈り取り、種子の脱穀などを体験する。今年は入会金5千円、コース料金5万5千円。参加2年目のコース料金は3万円と、安く設定していた。
岡山県内の50代女性は昨年、年間コースに参加した。数年前、環境問題のイベントで八十八や代表の上野俊彦被告(37)=大麻取締法違反(所持、譲渡)の罪で起訴=と知り合った。昔から、日本の衣食住に大麻草が使われていた歴史を知り、産業用大麻の普及を応援したくなった。毎回の参加者は30~60人ほど。関東の人もいたという。
女性によると、上野被告は講習中に「産業用大麻は服や食料など色々な商品の材料になり、まさに日本を復活させる植物」と強調した。大麻草の種や葉を持ち帰らないよう、参加者に服のポケットや長靴の隙間に粘着テープを貼らせ、「絶対にくっつけたまま帰らないように」と注意していた。女性は「熱心に指導していたので信じていた。薬物として使用する目的で大麻を所持していたのなら許せない」と話す。
年間コース参加者の中には、い…