70歳以上が支払う医療費の自己負担上限について、政府は年収約370万円未満で住民税を払っている人の負担増の一部を緩和する方針を決めた。厚生労働省案では外来医療費の月額上限を来年8月から2万4600円に倍増する方針だったが、年額の上限を14万4千円に設定。医療費を多く使う人の負担を和らげる。
緩和するのは、70歳以上が個人で使った外来医療費の月額上限を下げる「外来特例」。年額に上限を設けることで長期間の治療が必要な人の負担を抑えたうえで、現行で1万2千円の月額上限の引き上げ幅を圧縮。来年8月から1万4千円、再来年8月から1万8千円に段階値上げするなどの案で与党と調整する。
対象は年収約370万円未満で住民税を払っている所得層(東京23区で単身の場合、年金収入だけなら年155万円以上)で約1243万人。特に公明党が強く反発したため、引き上げ幅を見直すことになった。
75歳以上が支払う公的医療保険の保険料も一部で負担増を段階的に導入する。対象は年金収入だけなら年153万~211万円の約160万人。保険料の所得比例分を半額にしている特例を来年度に廃止する方針を見直し、2018年度まで2年かけて廃止する。