テロ現場の詳細図
また車両が凶器として使われた。22日、ロンドン中心部の国会議事堂周辺で起きた襲撃事件。英国にとって「ウェストミンスター」は日本の永田町に当たる国家の中枢だ。監視カメラやテロ情報の収集で大規模テロを抑え込んできた英国に大きな衝撃が広がった。
ロンドンテロ、IS系が犯行主張する声明 通行人ら死傷
事件から一夜明けた23日、敷地内で警察官が殺害された国会には半旗が掲げられた。メイ首相と議員は起立し、1分間の黙禱(もくとう)を捧げた。メイ氏自身、事件直前まで議場で答弁していた。議会制民主主義の母国である英国の人々にとって、国会は民主主義や人権を象徴する存在だ。狙われた衝撃は大きい。
車で歩道に乗り上げ、無差別に市民を襲う手口は、昨年7月、仏ニースの海岸で起きたトラックテロや、同12月にベルリンのクリスマス市(いち)をトラックが襲ったテロと共通する。
英国の対テロ専門家らは、不特定多数の人が集まる場所への大型車両の進入を防ぐバリケードの設置や、大型車両の不審なレンタル情報の収集などを通じて抑止する対策を提言してきた。ただ車両を武器として、警備や監視が手薄な市民らを狙う「ソフトターゲット」型のテロは「事前の計画や組織の支援すら必要としない、最も洗練されていないテロ」(英王立統合軍防衛研究所上級研究員、タヒール・アッバス氏)。完全に防ぐのは不可能だ。
マスード容疑者は、英国生まれ…