米アップルは19日、アイルランドを利用して課税を逃れたとして欧州連合(EU)の行政を担う欧州委員会が追徴課税を命じたことを不服とし、EUの裁判所に提訴した。ロイター通信などが報じた。
欧州委は今年8月、アイルランドがアップルに対し、不当な法人税の優遇措置を与えていたとして、アップルに追徴課税するようアイルランド政府に指示。追加の徴税額は最大130億ユーロ(約1兆5900億円)に上る可能性がある。
アップル幹部は19日、ロイター通信の取材に対し、「アップルはなんら違法行為は行っていない。ニュースの見出しになるため、狙い撃ちにあった」などと欧州委を批判し、提訴したことを明らかにした。
米企業がアイルランドなどに保有する利益を巡っては、米上院も法人税逃れをしているとの報告書をまとめたことがある。これに対し、アップルは「海外で稼いだ利益は米国の課税対象ではない。海外の利益を米国に戻せば、税金がかかりすぎる」などと反論。トランプ次期大統領は、海外保有の利益を米国内に戻す際には、法人税を軽減する方針を示しており、欧米間で課税を巡る駆け引きは激しくなりそうだ。(サンフランシスコ=宮地ゆう)