「トランプ勝利」後、日米の長期金利は上昇
日本銀行が20日の金融政策決定会合で政策の「現状維持」を決め、景気の基調判断を1年7カ月ぶりに引き上げた。海外経済の好転が国内に波及しているためだ。一方、短期間で長期金利が上がり、日銀は様々な手法で抑え込んでいる。トランプ米次期政権の世界経済への影響は不透明で、今後も綱渡りの政策運営が続きそうだ。
日銀会合、現状維持を決定 長期金利「ゼロ%程度」
日銀・黒田緩和
「世界経済は上向きつつあり、わが国経済も輸出、生産の持ち直しが明確になっている」。記者会見した黒田東彦(はるひこ)総裁は、景気判断を上向かせた理由をこう説明した。
日銀は定例では年内最後となる20日の会合で、景気判断を「緩やかな回復基調を続けている」とした。従来の「輸出・生産面に鈍さがみられる」との表現を削り、景気判断をわずかに上方修正させた。
米国や中国で景気が上向いたことが国内経済にも波及し、「個人消費でも持ち直しを示唆する指標が増えている」(黒田総裁)。金融市場では米大統領選でのトランプ氏勝利後、同氏の経済政策への期待による円安・株高が続く。
このため、金融政策は従来通りで据え置いた。長期金利の操作目標は「ゼロ%程度」で、金融機関が日銀に預けるお金の一部に0・1%のマイナス金利をつける。国債の買い増し額は「年80兆円をめど」とする。
ただ、最近の物価上昇率は10…