製薬会社から委託を受けて、バイオ医薬品を製造する千葉県市原市の工場=旭硝子提供
遺伝子組み換えや動物細胞などを使ってつくる「バイオ医薬品」に力を入れる企業が増えている。従来の薬では完治しにくい病気にも効果があるとされ、市場が急拡大しているからだ。旭硝子は20日、バイオ医薬品製造受託の欧州大手、CMCバイオロジックス(デンマーク)を買収すると発表した。
旭硝子は、バイオ医薬品の製造受託では国内売上高トップを誇る。CMCの全株式を投資会社などから約600億円で取得する。8月にはドイツの同業者を買収しており、欧米での事業拡大を図る考えだ。
CMCは従業員約530人で、米国にも2カ所の拠点がある。動物細胞を使ったバイオ医薬品のノウハウを持つことから、微生物の活用を得意とする旭硝子と補完効果があるという。
島村琢哉社長は20日の記者会見で、「いよいよ機が熟した。バイオ医薬品を高収益事業に育てたい」と強調した。現在は数十億円の売上高を、2025年までに約500億円に伸ばす方針だ。