自傷や他害の恐れがある精神疾患の患者を強制的に入院させる措置入院の必要性を判断する「精神保健指定医」について、厚生労働省は資格の更新条件を厳格にする方針を固めた。資格の不正取得で89人の医師が資格を取り消された問題を受けた対応で、来年の通常国会に精神保健福祉法改正案を提出する。
改正案では、5年ごとの資格更新時に、一定の要件を満たす指定医の指導のもとに行われる実務経験を新たに求める。従来は研修を受ければ自動的に更新できたが条件を厳しくする。措置入院は強制的に患者を拘束するため、より深い知識や経験を求めることにした。詳細は今後検討する。
相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された事件を受けた再発防止策も盛り込む。都道府県や政令指定市が患者の退院後の支援計画をつくることや、患者が引っ越した場合に必要な個人情報を自治体間で共有できる仕組みづくりなど、厚労省の検証・再発防止策検討チーム(座長=山本輝之成城大教授)がまとめた内容を反映させる。
いずれも2018年4月の施行をめざす。(井上充昌、水戸部六美)