福島県は27日、東京電力福島第一原発事故時に18歳以下だった約38万人に対する甲状腺検査で、7~9月に新たに10人ががんと診断され、計145人になったと発表した。県の検討委員会は「これまでのところ被曝(ひばく)の影響は考えにくい」との立場を変えていない。
甲状腺検査は、2011年秋から13年度までの1巡目(先行検査)、14~15年度の2巡目(本格検査)が終わり、今年度から3巡目(本格検査の2回目)に入っている。
9月末現在、がんかがんの疑いがあるとされたのは、6月末時点から9人増の計184人。うち116人は1巡目で、68人は2巡目で見つかり、3巡目ではまだ報告されていない。1巡目では102人が手術を受け101人ががんと確定、1人は良性腫瘍(しゅよう)だった。2巡目では手術を受けた44人でがんが確定した。6月の発表では、事故当時5歳だった1人ががんと診断されたが、新たにがんと診断された10人に5歳以下はいなかった。
県の検討委員会は、被曝の影響が考えにくい理由として、チェルノブイリ原発事故に比べ福島県民の被曝線量が少ないとみられることや、がんが多発した5歳以下にほとんど発生していないことを挙げている。
県では3カ月おきに最新の検査結果を発表している。(奥村輝)