1974年8月30日午後、東京・丸の内で起きた三菱重工ビル爆破事件の発生当時の様子
旧財閥系企業などが相次いで被害を受けた連続企業爆破事件(1971~75)で殺人罪などに問われた大道寺将司(まさし)死刑囚(68)は、来春で死刑確定から30年となる。現在は病身で20年前から詠み続ける俳句には悔悟の言葉もある。一方、事件で亡くなった被害者の遺族は、死刑が執行されないことに複雑な思いを抱えたまま、歳月を重ねている。
死刑囚増、収容長期化進む 高齢化も課題
年経てもなほ生きぬかん寒の獄(97年)
篠笛(しのぶえ)を獄舎にて聞く秋祭り(97年)
87年の死刑確定から10年。大道寺死刑囚は母幸子さんらに出す手紙に俳句を添えるようになった。
幸子さんにとって、大道寺死刑囚は再婚相手の連れ子で、実子ではない。判決確定後、東京拘置所での面会のために北海道の自宅を処分して埼玉に移り、毎日のように会いに訪れた。他の死刑囚とも交流するように。死刑制度に疑問を抱き、生きて償うことの大切さを訴えた。
その母は2004年、83歳で…