福島第一原発事故後、初めて村内で行われた成人式。昨年8月にオープンした村の交流センターで久しぶりに再会した新成人たちは話に花を咲かせた=8日午後、福島県飯舘村、福留庸友撮影
東京電力福島第一原発の事故で全村避難が続く福島県飯舘村で8日、成人式が開かれた。3月末に避難指示が大部分で解除されるのを踏まえ、東日本大震災後初めて、村内で開かれた。
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「自然豊かな飯舘村は私たちの人生の根幹をつくった、ふるさとであり原点。復興に尽力してくださる方々に感謝します」。福島市に避難する宮城教育大2年の松下圭太さん(20)が出席した新成人61人を代表し、誓いの言葉を述べた。
震災時は中学2年。飯舘中学校は隣町の高校の建物を間借りして再開したが、別の自治体に避難する同級生との別れも経験。そんな同級生とも再会し「懐かしい顔に会えて話せた」。
ただ「村の放射線量が安全なのかわからない。インフラも整っておらず、村には戻らない」という。「将来どんな仕事に就いても間接的には村の復興につながる」と、県内の高校で野球部の監督になることを夢見ている。
成人式では、2011年12月に飯舘中を訪れ、演奏を披露した人気デュオ「ゆず」のビデオメッセージも上映され、北川悠仁さんが「未来に向かって羽ばたいて」とエールを送った。
福島県内ではこの日、39市町村で成人式が行われ、全域避難になっている大熊町、浪江町、富岡町は町外で成人式を開いた。(伊沢健司)