解体される前の崩れかかった燕温泉のホテル朝日屋=2016年5月26日、新潟県妙高市、加藤あず佐撮影
危険な空き家を自治体が強制的に撤去できる制度が2015年5月に始まって以降、昨年10月1日までに19市区町の22件が強制撤去された。だが約8割は所有者が不在で、費用の大半が回収不能になっていることが、国土交通省などの調べでわかった。所有者から費用をどう回収するか、自治体にとって大きな課題だ。
人口減少の影響で空き家は年々増加し、全国で約820万戸(13年時点)にのぼる。うち管理されず腐朽したり壊れたりした物件は約105万戸。倒壊の恐れや衛生上の問題があることから15年5月、空き家対策特別措置法が全面施行され、市区町村が空き家の所有者に撤去を命令し、従わない場合は強制撤去できるようになった。
費用は所有者負担が原則で、不動産登記簿や固定資産税の課税情報を使って特定し、請求する仕組みだ。
しかし、法施行から昨年10月1日までに行った強制撤去22件(撤去費約4802万円)のうち、所有者側に費用請求のめどがたっているのは7件のみ。約8割の18件は所有者が死亡し、親族が相続放棄するなど所有者が不在で、うち神奈川県横須賀市など13市町の15件は土地の売却など他の回収手段も無く、撤去費約2857万円を回収できないことが判明した。
人口減少は今後も進み、50年…