バンコクの民主記念塔前で軍事独裁を批判するジャトゥパット氏(中央)=2015年6月、大野良祐撮影
2014年のクーデター後、軍事独裁体制に反対する活動を続け、昨年末から不敬容疑でタイ東北部の留置施設にいる大学生が施設内で卒業試験を受けることが18日までに認められた。家族らは一時的な保釈を求めたが、裁判所は判断を大学と軍、司法省などに委ね、拘束下で受験することになった。今月末から来月にかけて試験がある。
ジャトゥパット・ブーンパタララクサ氏(25)はコンケン大学法学部生で、東北部の貧しい農民の支援などをしてきたグループ「ダオディン(地上の星)」のリーダー。クーデター後、コンケン県の式典に出席したプラユット暫定首相の目の前で仲間とともに抵抗のジェスチャーをして見せ、全国的に知られるようになった。
その後も、各地の学生と連携して活動を続けていたが、昨年12月、英BBCのタイ語サイトに掲載された新国王の経歴に関する記事をフェイスブックで共有したことが国王への侮辱、中傷にあたるとして、不敬容疑で逮捕された。いったん保釈されたが、フェイスブック上の記事を削除しなかったとして保釈を取り消された。
当局はジャトゥパット氏を訴追する一方、記事を出したBBCタイには法的手段をとっていないため、同氏の拘束には内外からの批判も強い。このため、卒業試験の機会を奪う対応は避けたとの見方がある。(バンコク=大野良祐)