エルサレムの地図
20日に就任するトランプ次期米大統領が、イスラエルが「首都」とするエルサレムに米国大使館を移転する方針を表明していることに、国際社会の懸念が強まっている。実施に踏み切ればイスラエルとパレスチナの和平はさらに遠のき、中東全体にも大きな影響を与える可能性がある。
ドナルド・トランプ
イスラエルは1948年の第1次中東戦争で西エルサレムを獲得。67年の第3次中東戦争で東エルサレムを併合した。エルサレム全域を「不可分の首都」とするが、国際的には認められていない。パレスチナ側は、東エルサレムを将来のパレスチナ国家の首都とする方針を堅持してきた。
米国の歴代政権や国際社会は、「エルサレムの地位はイスラエルとパレスチナの和平交渉で決めるべきだ」とし、日米を含む多くの国はテルアビブに大使館を置いている。
ところがトランプ氏は選挙戦の最中から、エルサレムがイスラエルの首都だと述べ、大使館を移すと表明。トランプ氏が昨年12月に駐イスラエル大使に指名したデービッド・フリードマン氏は「永遠の首都、エルサレムで仕事することを楽しみにしている」との声明を出した。AP通信によると、国連大使に指名されたサウスカロライナ州のニッキー・ヘイリー知事も今月18日、大使館移転を支持した。
各国は懸念を強めている。オバマ米大統領は18日、任期中の最後の記者会見で、「(大使館移転など)一方的な動きは激変を招く可能性がある」とトランプ氏を牽制(けんせい)した。
パレスチナ自治政府のアッバス議長も、大使館を移転すれば「(93年のオスロ合意で認めた)イスラエルの承認を取り消すことを検討する」と仏メディアに語った。
エルサレムを巡っては2000…