松坂桃李さん=外山俊樹撮影
父は大学の先生で、心理学を教えています。物静かであまりしゃべらないタイプですね。
桃李という名前は本名で、父がつけてくれました。この仕事を始めてから名前の意味を聞かれることが多いんですが、由来を知ったのは実はつい最近。司馬遷の「史記」に出てくる言葉にちなんで、「桃やスモモの木は、実の香りに誘われたくさんの人が寄ってくる。そんな魅力的な男になってほしい」という思いを込めたそうです。
父に怒鳴られた記憶があるのは2回だけ。小学生の頃、マンションの水道を止めたいたずらがばれた時と、「役者になりたいから大学を休学したい」と言った19歳の時。最初の時は怒ると怖い人なんだと自覚した程度で、半分笑い話です。でも19歳の時は、本当の大げんか。父は「芸能界なんてふざけるな」と激怒していました。公務員とか、堅い仕事に就くことを期待していたんじゃないかな。僕は半ば飛び出す形で実家を離れて一人暮らしを始め、その後何年かは、話もしませんでした。
海しかないような神奈川の田舎…