トランプ米大統領の就任演説で「米国第一主義」が前面に掲げられ、公表された主要政策で保護主義的な色合いが強まったことに、与野党の幹部からは21日、指摘や懸念が相次いだ。
特集:ドナルド・トランプ米大統領
就任式ドキュメント
自民党の高村正彦副総裁は「米国第一主義の具体的内容と程度をしっかり見極めていく必要がある」とした上で、トランプ氏が離脱を表明した環太平洋経済連携協定(TPP)について「アメリカ経済にとっても、よりよい結果をもたらすことをアメリカに説明するところから日米の交渉は始まる」と語った。
公明党の山口那津男代表はコメントを出し、「トランプ新政権が米国民の期待に応え、国際社会の平和と繁栄に寄与することを願ってやまない」と強調。安倍晋三首相がトランプ氏と信頼関係を深めるため、「早期に首脳会談を行うことを期待する」と求めた。
野党は懸念を強める。民進党の蓮舫代表は21日、党会合で「国益を最大限に考えるのは理解するが、あまりにも保護主義的、孤立主義的な方向に行かないかが気がかりだ」と指摘。TPPについて「離脱が表明された。安倍政権の対応は厳しく問うていきたい」と語り、今後の国会審議で追及する考えを示した。
共産党の志位和夫委員長は談話を発表し、「トランプ氏が軍事的・財政的負担の強化を求めてくる可能性がある。経済関係でも、二国間交渉を通じていっそうの譲歩を迫ってくる危険がある」と強調。その上で、「対等・平等・友好の日米関係に切り替えることが、これまでにも増して切実な課題となる」と訴えた。
日本維新の会の松井一郎代表はコメントで、トランプ氏による「既得権層批判」を取り上げて、「トランプ大統領の批判が多くの米国人の心を捉えたのなら、アメリカの変化に我が国の永田町も冷静沈着に対応すべきだ」との見方を示した。