閉鎖前のクラブの練習の様子=2008年3月、大阪市阿倍野区
大阪・阿倍野の「高架下のトランポリン教室」が閉鎖された。高速道路直下の練習場で約23年間、幼児から大人まで延べ500人以上が跳ね続け、オリンピック選手も育った。生徒らは移転先を見つけて再開するよう熱望しているが、新天地はまだ決まらない。
「自分の教室を自分で壊しているような気分です」
4歳から通う大阪市城東区の小学4年田中希湖(きこ)さん(10)は悲しげだ。
大阪市阿倍野区の阪神高速道路の高架下にある「アベノジュニアトランポリンクラブ」の練習場。14日午後、マスクや軍手姿の親子ら約40人が集まった。マット下のクッションに使っていた木製パレット約60枚を、保護者が電動のこぎりで切断。子どもたちが、黙々とトラックに運ぶ。
高架下の教室は、代表の井上涼子さん(58)らがクラブを創立した1994年に始めたが、昨年12月29日で終了。トランポリン9台は倉庫に運び込まれた。
高架下の魅力は、最大で縦約5メートル、横約2メートルのトランポリンの出し入れが不要なこと。幅約15メートルの高速道路が傘となり、いつでも練習できる。地代もいらず、夜間の照明などの電気代は年間15万円ほどだった。
ところがクラブの発展に伴い、阿倍野区外の生徒が増えたことで問題が生じた。区などによると、土地は高速道路を所有する独立行政法人から区が権限を得て管理し、地元自治会に貸し、クラブが使っていた。区は「『地区の地域振興』に使ってもらうのが契約内容」と説明する。今は3歳~60代の約130人が所属するが、半数以上は区外から通い、大阪府外の生徒もいる。井上さんも「地元の子が少ないのは事実。今までよくしてもらった」と立ち退きを受け入れた。
存続を願う声は大きい。希湖さんの母の田中順子さん(41)は長男と、自閉症を抱える次男も通わせた。「目先にとらわれず5年、10年先を見据えて丁寧に指導してもらった。教室がなくなったらどうすればいいのか」
トランポリンの最高到達点はビル3階相当の約8メートル。井上さんと保護者は、天井がそれより高く、子どもが安全に通える交通の便がよい代替地を探している。生徒にはコースに応じて月額6千~1万5千円の会費を徴収していたが、値上げは避けられない。
大会を控えた生徒は、大阪府摂…