刑務所入り口にある赤れんが造りの表門。円塔が左右に配置される外観が目を引く=奈良市
3月末で閉鎖され、「旧奈良監獄」として重要文化財になる奈良少年刑務所(奈良市)について、改修とその後の運営を担う企業グループを法務省が募集中だ。全国初の「監獄ホテル」としての再出発が有力視されるが、歴史的な建物の保存と、観光資源としての活用との両立が鍵となる。
1908(明治41)年に建てられ、現存する国内最古の刑務所。赤れんが造りが特徴で、受刑者が入る5棟の「舎房」が放射状に並ぶ。だが、耐震基準を満たしておらず、老朽化が進んでいた。保存を求める声を受け、土地と建物は国が所有したうえで、改修と運営に民間の資本を生かすPFI方式を採ることにした。
昨年10月には、重文への指定も決まった。近く正式に指定される見通し。約36億円と見込んでいる耐震改修費のうち、半額を国が補助することになる。
同省は、今後の担い手となる企業グループの公募を今月中旬から始めた。改修と運営のプランの提案を受け、有識者会議の意見を踏まえて、5月にも担う業者を選定。2019年10月のオープンをめざす。事業の期間は50年3月までと長期にわたり、さらに30年間の延長も認めるという。
観光地にあり、ホテル業者やゼネコンなどでつくる複数の企業グループが関心を示す。参入をめざす業者は「建物が持つ圧倒的な可能性とユニークさが魅力。地元と観光客の双方に利点のある形を考えたい」。
ただ、重文は現状の保存が原則…