心臓移植を受ける患者の選定ミスがあったと謝罪する日本臓器移植ネットワークの門田守人理事長(右から2人目)ら=27日、東京・霞が関の厚生労働省
日本臓器移植ネットワーク(移植ネット)は27日、昨年10月に導入した移植患者を選ぶ新しい検索システムに不具合があり、3例の心臓移植で選定ミスがあったと発表した。提供を受けるはずだった2人が移植を受けられず、1千日以上待機しているという。心臓移植での選定ミスは初めて。
移植ネットによると、1月26日にあった脳死心臓移植の選定時に、優先順位1位と2位の患者を診ている大阪大病院から「順位が逆ではないか」と指摘があった。調べた結果、プログラムミスがあり、患者の治療状況の情報を修正すると、待機日数が誤って長く計算されることが判明。このシステムの導入後にあった脳死臓器提供21例のうち3例で選定ミスが見つかった。移植を受けられなかった2人のうち1人は機会を2回逃した。26日の事例は正しく選定したという。
移植ネットでは2014、15年に腎臓移植で選定ミスが相次ぎ、当時の理事長らが引責辞任。今回のシステムは、再発防止のため、開発されたものだった。厚生労働省は27日、臓器移植法に基づき、検索システムの利用を中止し、専門家を交えた第三者調査チームで検証するよう指示した。
移植ネットは、ほかの臓器でも選定ミスがなかったか検証中で、当面、手作業で患者を選定するという。
門田守人理事長は記者会見で「社会の信頼を損なう事態となったことを深くおわびしたい。臓器提供される方、遺族の善意を尊重し、一刻も早く正常化したい」と話した。(竹野内崇宏)