27日、ホワイトハウスで、手をつないで歩くトランプ米大統領(左)とメイ英首相=EPA時事
トランプ米大統領にとって就任後初めての首脳会談となったメイ英首相との会談は、二国間の「特別な関係」が強調された。ただ奔放なトランプ氏と堅実なメイ氏の「違い」も垣間見え、20分足らずの共同記者会見はぎこちなさが残った。
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会談に先立ち、両氏は大統領執務室に置かれた英国の宰相チャーチルの胸像を前に、笑顔で握手を交わした。ホワイトハウスの廊下を並んで歩く2人が、一瞬だが手をつなぐ様子も報道陣に披露し、親密ぶりを誇示した。
記念品として、メイ氏が贈ったのは、英スコットランドの伝統的酒杯「クエイク」。取っ手がついていて、ウイスキーを回し飲みするときに使われることから、親愛や友情の象徴とされる。トランプ氏は酒を飲まないが、母親がスコットランド北部の出身であることも考慮したとみられる。
「牧師の娘の努力家と、高圧的なテレビの社交的人物。共通の性格はあるんですか」。27日の会見では、こんな質問が飛び出した。トランプ氏は「私は人付き合いの良い人。テリーザ、あなたもでしょう」とメイ氏に話を向け、「きっとすばらしい関係が築ける」と親密さを強調した。
一方のメイ氏は、折り合えない相違があったか、との問いに対して、「特別な関係で重要なのは、オープンかつ率直に議論ができること」と述べ、意見に違いがあることを言外ににじませた。
トランプ氏との関係づくりに意欲を見せるメイ氏だが、トランプ氏の女性差別的な発言については「許容できない」と批判してきた。内務相時代にドメスティックバイオレンス(DV)撲滅に努め、女性議員の進出も後押しした者としては、看過できない問題だ。人権問題などについては、今後も是々非々で臨む構えを見せている。(ワシントン=渡辺志帆)