暴行事件の目撃者が捜査段階のうその証言を撤回しようとしたところ、検察官が口止めしたため、拘束期間が長引いたなどとして、無罪が確定した男性(66)=大阪市=が3日、国と大阪府に計1584万円の国家賠償を求め、大阪地裁に提訴する。「捜査機関の違法・不当な行為で重大な心身の苦痛を受けた」と訴えている。
訴訟記録などによると、男性は2012年8月、大阪府岸和田市の病院前で男性患者(62)を殴ったとして傷害容疑で逮捕された。男性は否認したが、大阪地検岸和田支部は患者と一緒に居た知人の男性2人が「男性が患者を殴った」と証言したことを踏まえ、翌月に暴行罪で起訴した。
ところが、このうちの1人(40)が公判で「やってもいない罪に陥れた。3人で賠償金を取ろうと口裏を合わせた」と証言し、「患者が挑発して男性を殴った。患者が怖かった」と起訴内容を否定。「検察官にも同じ内容のことを告白している」と説明した。
大阪地裁岸和田支部は14年1月、「患者側の主張は矛盾が多く信用できない」とする一方、目撃者の証言について「合理的で具体的。真摯(しんし)な態度で信用できる」として無罪(求刑罰金20万円)を言い渡した。検察側は控訴せず、判決は確定した。
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