空港での襲撃の様子
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件で、正男氏が殺害される前後の様子が監視カメラの映像から明らかになった。実行犯の女が背後から正男氏を襲って立ち去るまでにかかった時間は、わずか2秒ほどだった。日本のテレビ各局などがこの映像を放送し、朝日新聞は空港の監視カメラの映像から切り取った画像を入手した。殺害現場の状況が徐々にわかってきた。
特集:金正男氏殺害
13日午前9時前。ジーパンをはき、紫色のシャツの上に薄いグレーのジャケットをはおった正男氏は黒いリュックを右肩にかけ、クアラルンプール国際空港内を1人で歩いていた。出発ホールに入った正男氏は数秒間立ち止まり、上を見上げた。搭乗する飛行機の時間や行き先を示した電光掲示板を確認しているようだった。
その後、40メートルほど先にある国際線の自動チェックイン機の前まで進んだ。左前からシティ・アイシャ容疑者(25)とみられる女が歩み寄り、注意を引くような動きを見せた。直後、白いシャツを着たドアン・ティ・フォン容疑者(28)とみられる女が、正男氏に背後から飛びかかった。両手を肩越しに突き出し、正男氏の顔を覆った。毒物をなすりつけたとみられる。正男氏はかがみ込み、手を振り払った。一瞬、女の左腕が上がったのがみえた。
背後から襲った女は、正男氏の左の方向に静かに立ち去り、もう1人の女は別の方向に走って逃げた。周囲にいた人で、異変に気づき、止めたり声をかけたりした人は見られなかった。
正男氏はその後、しっかりした…