米宇宙企業スペースXは27日、民間人2人を乗せ、月周回旅行をする有人宇宙船ドラゴンを2018年後半に打ち上げると発表した。2人はすでに費用の多くを支払い、今年後半から訓練に入る。地球周回軌道を離れて月周辺に人類が到達すれば、1972年に最後の月面着陸に成功したアポロ17号以来、46年ぶりとなる。
アポロ計画以来の快挙なるか 月軌道への有人飛行焦点に
スペースXによると、月旅行には、同社が米航空宇宙局(NASA)の委託を受けて開発中の有人宇宙船ドラゴンと、将来の火星探査に向けて独自開発を進めるロケット「ファルコン・ヘビー」を活用する。ドラゴンは18年にNASAの宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に搬送する目的で開発中。まずISSへの宇宙飛行士の搬送と帰還を成功させた上で、次の試みとして月への周回旅行をする。宇宙での滞在期間は1週間程度とみられる。
搭乗する2人の氏名は公表されていない。スペースXは、ほかにも月旅行に強い関心を持っている人たちがいるとして、さらに多くの参加を見込んでいる。NASAの委託以外に民間の宇宙旅行を手がけることで打ち上げ回数が増え、長期的な費用の低下や信頼性の向上につながる利点があると説明している。
月周辺への有人探査をめぐっては、NASAが今月、トランプ政権の意向を受けて21年以降に計画していた新型有人宇宙船オリオンの月軌道への打ち上げを19年ごろに前倒しするよう検討を始めたばかり。スペースXの計画が予定通り進めばNASAより早く実現することになる。