名古屋市は、子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に体の障害を訴えた女性1人について、2160万円を支払うことを決めた。2016年度補正予算案に補償費を計上し、開会中の2月市議会に提出した。
この女性は10~11年度、市の助成を受け任意の予防接種を3回受け、予防接種法に定める身体障害3級相当の障害が残ったという。このほか数人が補償を求めているという。
市が加入する全国市長会予防接種事故賠償補償保険制度を利用する。予防接種と健康被害との因果関係が認められた場合、国や製薬会社の過失の有無に関わらず金銭的な補償をする制度。名古屋市がこの制度を使って救済するのは初めて。市によると、広島市、宮崎市に同様の支給例があるという。
子宮頸がん予防接種については、各地で副作用の訴えが相次ぎ、市は国の通知を受けて13年6月以降は積極的に接種を勧めていない。(関謙次)