最後の授業。学生たちに「なぜ?」「どうして?」と問いかける金森俊朗さん=金沢市の北陸学院大
教科書に縛られず身の回りの生きものや自然現象などを通して、いのちの大切さを教え続けてきた金沢市の元小学校教諭で大学教授、金森俊朗さん(70)が今春、退職する。「ハッピー学級」を合言葉に仲間づくりを実践。子どもたちに教え、教えられた半世紀だった。
■教員志望の学生に最後の授業
1月19日、北陸学院大(金沢市)の教室で、金森さんは、47年間の教員人生の最後となる教壇に立った。小学校教諭らをめざす学生たち約20人が、詰め合って前の方の席に陣取る。
「この絵で何を教える?」。金森さんは小学3年の教科書に載っている一枚の絵を掲げて聞いた。囲炉裏にわらじ、草履、わら靴などが描かれている。
すかさず女子学生が手を挙げた。「今との違いを学ぶ」。金森さんが、「どうしてそれを学ぶ必要があるの?」と問うと、「ありがたみを知る?」。
社会科で教科書や独自の教材から、どれだけ内容の濃い授業を作れるか。そのコツを伝える講義だ。
「ほかには」。金森さんの問いかけに、最前列の別の女子学生が立ち上がり、「当時の人の工夫を学ぶ」。「なぜ知るべきなの?」。「知恵を学ぶため」と中列の女子学生が続く。「でも、知らなくても生きていけるよ」と金森さんが重ねると、別の女子学生が手を挙げ、「よりよく生きるための知恵を学ぶことができる、かなあ?」。
「はい、ここまで考えが発展しましたね。こういう訓練が大切です」
金森さんの授業のスタイルは、…