男性が職場の机の中にしまっていたステッカー。母親は「息子の気持ちだったんでしょう」と話す
自殺した西日本高速道路の男性社員(当時34)の母親は16日、代理人弁護士を通じて手記を公表した。内容(抜粋)は次の通り。
34歳過労自殺、労災認定 遺族、西日本高速役員ら告訴
彼がインフラの仕事を志したのは中学2年の終わり頃でした。1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生し、私たちも神戸市内で被災しました。高速道路の倒壊、ガス・水道・電気などインフラの壊滅状態を目の当たりにしましたが、そのさ中で神戸市水道局の職員が過労死するというニュースに接して、彼は大きな衝撃を受けた様子でした。
「非常時には、フットワークの軽い技術者がたくさん必要なんや。俺、それやる!!」とその時の志を持ち続けて、数年後にNEXCO西日本の前身である日本道路公団に入社しました。
そんな彼が十数年ぶりに地元勤務になって、休日は家族や友人と過ごすことを楽しみにしていました。私たちもそういう日常を心待ちにしていたのです。けれども、日々の残業に加えて土日の出勤も続き、振替休日を一日も取れないままに「誰とも会えてない!!」と書き残して息子は逝ってしまいました。
何故(なぜ)このような長時間労働を強いられ、心身追い詰められて死んだのか、何故人間らしい働き方・暮らしができなかったのか、――しかも選(よ)りに選って初志を抱いた神戸で――と、母は今も心が疼(うず)きます。
NEXCO西日本のみならず、働く者が仕事に誇りや喜びを持って人間らしく働ける社会であることを願ってやみません。
2017年2月16日 三回忌にあたり 母