米フロリダ州・パームビーチでゴルフを楽しむ安倍晋三首相(左)とトランプ大統領(2月11日、内閣広報室提供)
トランプ米政権誕生から100日。さまざまな数字で見ると、政権の「実像」が浮かび上がってくる。
トランプ氏に熱狂したラストベルトは今… 就任100日
■ツイート479回
「ひどい!オバマがトランプタワーを盗聴していたのを見つけた」「トヨタはメキシコに工場を建てると発表した。とんでもない!」。トランプ大統領は事実と虚偽にかかわらず、突然のツイートで世界を翻弄(ほんろう)し続ける。
大統領就任日の1月20日以来、私用アカウントでのツイートは479回にのぼる。とくに朝6時から9時ごろまでのツイートが目立つ。既存メディアを通さず、2800万人以上のフォロワーに直接訴える手法は今後も続きそうだ。
トランプ氏は今月の英フィナンシャル・タイムズ紙のインタビューで「ツイートなしでは、私はここ(ホワイトハウス)にはいなかっただろう」と言及。ツイッター、フェイスブック、インスタグラムを合わせて1億人のフォロワーがいるとして、「私はフェイク(偽)メディアに頼る必要がない」と話している。(ワシントン=五十嵐大介)
■大統領令は32件
米メディアによると、29日までにトランプ氏が発令した大統領令は32件。就任後100日の大統領令の発令件数は、オバマ氏が19件、ブッシュ氏11件、クリントン氏13件。第2次世界大戦以降に就任した大統領ではトランプ氏が最多になるという。
トランプ氏は以前、大統領令を連発するオバマ氏に対し、「取引できないから大統領令に頼っている」などと批判。共和党との対立に苦労したオバマ氏を皮肉った。ただ、オバマ氏が出した大統領令は年平均35件で、戦後の大統領の中では最も少なかったという。
ホワイトハウスによると、トランプ政権の100日間に成立した法令は28件で、オバマ氏の11件、ブッシュ氏の7件を上回ったという。(ワシントン=小林哲)
■承認された幹部ポスト25どまり
「次官補代行」「報道官代行」……。トランプ政権下では、こうした肩書の幹部によく出くわす。米政府高官のほとんどで後任が決まっておらず、「代行」として残留している。
米ワシントン・ポスト紙の調べでは29日現在、上院の承認が必要な全省庁の幹部ポスト556のうち、承認されたのは25にとどまっている。労働長官など閣僚でも決まっていないポストがあり、過去5代の政権の中で任命が最も遅い。
就任後、北朝鮮政策の見直しなどに着手しているが、国務省や国防総省のアジア担当のポストは空席のまま。外交筋は「専門外の少数の高官が外交政策を決めることで、極端な判断が下される恐れが高まる」と懸念する。(ワシントン=峯村健司)
■就任直後からゴルフざんまい
「私はあなた方のために働く。ゴルフなどしている時間はない」――。選挙では、ゴルフ好きのオバマ前大統領をこう酷評していたトランプ氏だが、大統領就任直後からゴルフざんまい。100日間での実績は、安倍晋三首相とのプレーも含め19回だ。オバマ氏は同期間で1回のみ。過去3代の大統領ではクリントン氏の5回が最多だった。
トランプ氏のゴルフは、週末にフロリダ州にある自身の別荘に戻った際にプレーするが、ニューヨーク・タイムズによると、ホワイトハウス以外で大統領が過ごした日数は計25日で、歴代最多。「我々はオバマ氏のゴルフのために税金を払っている」と批判しながらエアフォースワンでの移動や警備の経費など、すでに数百万ドル(約数億円)の税金がつぎ込まれている。(ワシントン=佐藤武嗣)