「オバマ氏との間には非常に大きな意見の相違があった」――。対イラン強硬姿勢をとるイスラエルのネタニヤフ首相が3日、訪問先の英国で講演し、イラン問題をめぐり、オバマ前米大統領と比較しながらトランプ米大統領を激賞する場面があった。
英王立国際問題研究所(チャタムハウス)での講演で「私はイランこそ(中東問題の)主要な問題だとみている」と指摘。オバマ前政権が成し遂げたイラン核合意からの離脱を示唆するトランプ氏について「(前政権からの)戦略変更に踏み切ったことを歓迎する。対米関係は見た目以上に強固だ」と語った。
ネタニヤフ氏は米国など主要6カ国がイランとの間で核開発に歯止めをかける核合意を結んだことについて、実効性がないと強く批判している。
アラブ諸国との緊張関係が続くイスラエルの生存のために必要な国力としてまず軍事力を挙げ、それを支えるには強固な経済が必要だとも強調。経済の自由化などの実績に触れた上で「友人の安倍晋三(首相)と問題を起こしたくないが、今では1人当たり(の国内総生産)で日本を上回った」と胸を張った。
訪英はパレスチナにユダヤ人国家を建設することを英国が支持した「バルフォア宣言」から100年を記念したもの。「和平と土地の交換」を原則にした対パレスチナ和平が停滞していることについて「和平と土地の交換ではなく、和平と(対イスラエル攻撃の)ロケットの交換になっている」などと主張した。(ロンドン=石合力)