新元素を分離する装置「GARISⅡ」=埼玉県和光市の理化学研究所
113番元素「ニホニウム」を発見した理化学研究所などの研究チームは31日、未知の119番元素を合成する実験を本格的に始める方針を明らかにした。加速器や分析装置を改良し、2度目の命名権獲得を目指す。
元素は物質の基本要素。原子番号93番以降は自然界に存在せず、世界の研究機関が二つの原子核を超高速で衝突させ、合成してきた。現在118番まで見つかっている。
理研などが合成したニホニウムは、原子番号30の亜鉛を原子番号83の金属のビスマスにぶつけて合成した。既知の元素まで崩壊する過程を科学的に証明し、国際機関から新元素を発見したとして命名権を与えられた。
今回の実験では、原子番号96番のキュリウムと23番のバナジウムをぶつけて119番元素を作る。原子核をぶつける加速器の性能を5倍以上に、新元素を分離する装置の検出性能を1・7倍に、それぞれ高めたという。
1月に実験を始めたが、装置の一部が壊れたため中止していた。ドイツが119番、ロシアも120番の研究に着手している。
理研の延與(えんよ)秀人・仁科加速器科学研究センター長は「計算上、200日間の実験で新元素が1個できる見込みだ。数年のうちに成果を示したい」と話した。(杉本崇)