アパレル大手の三陽商会は27日、前社長が会社の資産を知人男性に売却しようとした問題にからみ、岩田功社長を含む当時の執行役員8人を訓戒処分にしたと発表した。岩田氏ら取締役4人は4月分の役員報酬の10%も自主返上する。
三陽商会、過去最大の赤字 「バーバリー」契約切れ苦戦
同社が設置した特別調査委員会(委員長・国広正弁護士)の報告書などによると、杉浦昌彦・前社長は昨年11月ごろ、同社が保有する「青山ビル」(東京都港区)を知人男性に約150億円で売却しようとし、同月の取締役会で報告した。男性は元渋谷区議。昨年7月に詐欺罪で有罪判決を受けており、「週刊誌で反社会的勢力との関係が取りざたされるような人物」だったという。
社内の複数の役員らは男性の経歴を知りながら、11月の取締役会で取引の停止を求めなかったという。疑問を感じた複数の社外の役員が調査を求め、結果的に取引は中止された。
報告書は「役職員全体の(反社会的勢力などとの取引の)リスクに対する感度が必ずしも高くなかった」と指摘した。
三陽商会は2015年夏に英ブランド「バーバリー」のライセンス契約が切れ、16年12月期の売上高は前年比30・6%減の676億円、純損失は113億円と過去最大の赤字となった。杉浦氏は経営不振の責任を取る形で1月1日付で退任した。(栗林史子)