「道徳」について書かれた各紙の紙面
■池上彰の新聞ななめ読み
「パン屋」が「和菓子屋」に、「アスレチックの公園」が「和楽器店」に書き換えられた。文部科学省の教科書検定の結果は衝撃でした。
パン屋「郷土愛不足」で和菓子屋に 道徳の教科書検定
小学校の道徳が2018年度から教科書を使うようになり、その教科書検定の結果が、3月25日付朝刊各紙で報じられました。
これまで道徳は「教科外の活動」と位置づけられ、教科書はありませんでした。道徳が小学校に導入されたのは1958年。私が小学生のときに道徳の時間が始まりました。「最近の子どもたちは道徳観念が薄れている」と声高に主張する人たちがいたためです。しかし、これが「戦後版教育勅語」になってはいけないという警戒心も強く、教科書を使う「教科」にはしないという条件で始まったのです。これが「教科外の活動」という位置づけの理由です。
それが、「特別の教科」という位置づけに格上げされ、文部科学省検定教科書を使い、成績評価も実施されることになりました。58年に道徳を学校教育に入れさせた人たちの目標が、ついに達成されたのです。なにせ「教育勅語」にはいいことも書いてある、などという政治家が存在する時代ですから。
検定結果で驚いたのは、小学校1年生の「にちようびのさんぽみち」という教材で登場する「パン屋」が「和菓子屋」に書き換えられていたという朝日新聞の記事でした。
また、同じく小学校1年生の「…