金正男氏の遺体を乗せているとみられる車。クアラルンプール国際空港に向かっていた=30日、クアラルンプール郊外
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏の遺体が30日、北朝鮮に戻る見通しになった。北朝鮮に残されたマレーシアの大使館員ら9人との交換を条件に、事件に関与したとされる男らの身柄を北朝鮮に引き渡すことを認めた形だが、事件の全容解明の方は厳しくなりそうだ。
特集:金正男氏殺害
マレーシア政府が正男氏の遺体などをめぐって北朝鮮側と交渉を始めたのは事件から1カ月後の今月13日。関係筋によると、北朝鮮から李東一(リトンイル)・前国連代表部次席大使らがクアラルンプールを訪れ、マレーシア外務省と水面下で協議を続けた。北朝鮮側は遺体の引き渡しに加え、事件への関与が疑われる3人の帰国を要求。北朝鮮にいるマレーシア大使館員ら9人の帰国を認める条件だとした。
マレーシア側は、同警察の事情聴取に応じることを条件に、マレーシア警察が逮捕状を取っていた高麗航空職員らの帰国を認めた。総選挙も近いとみられており、「人質」にとられた自国民の帰還を求める国内世論も高まるなか、北朝鮮側に譲歩した形だ。
3人は26日に北朝鮮大使館内…