田中明彦・政策研究大学院大学長。「富士山会合特別タスクフォース」座長。前JICA理事長
日米関係に詳しい日本の有識者グループが5日、トランプ政権発足をふまえた提言「より強固な同盟を目指して」を発表した。中国や北朝鮮に加え、出方が読めない新大統領への警戒感もにじむ内容。「日米同盟強化」を唱えるその提言の概要は――。
■アーミテージリポートの日本版
この提言は、2000年以降に米国の識者が包括的、長期的な日米同盟の価値と課題を論じた「アーミテージ・ナイ報告書」の日本版だ。
日米同盟は東アジアの公共財として高く評価されてきたが、トランプ大統領は選挙戦で疑問を公言していた。中国が台頭し北朝鮮が核・ミサイル開発を進める中、同盟の価値を再確認することは焦眉(しょうび)の急だ。
自由と民主主義にコミットしてきた米国で、政治理念にほとんど言及しないリーダーが選ばれた。トランプ政権誕生は冷戦後の世界秩序に最大の不確実性をもたらした。さらに強固な日米同盟で自由な世界秩序を発展させねばならない。
【同盟のあり方】トランプ氏の「ツイート砲」を警戒
■日米同盟のあり方
トランプ新政権は国家安全保障戦略の基本理念を、アジアで最も重要な同盟国である日本と共有すべきだ。新政権が「米国第一」を掲げる以上、日本は安全保障での公平な負担に可能な範囲で協力すべきだ。
トランプ大統領はツイートで従…