コンサートの最後、参加した歌手で「愛燦燦」を熱唱した=5日午後、東京ドーム、長島一浩撮影
昭和の大スター、故美空ひばりさん(1937~89)がかつて伝説の「不死鳥コンサート」を開いた東京ドームで5日、ひばりさんをたたえる大規模な記念コンサートが開かれた。5月29日に迎える生誕80周年に合わせた記念イベント。生前親交のあった五木ひろしさんや天童よしみさんらベテラン歌手のほか、きゃりーぱみゅぱみゅさん、AKBグループらの若手も出演。それぞれの持ち味を生かし、ひばりさんの名曲の数々を歌い上げた。
公演は、ひばりさんの激動の人生を映像とともに振り返りながら、その節目を飾った名曲を出演者が次々に熱唱していった。きゃりーさんの「東京キッド」で幕が開けた。
ひばりさんは、74年の広島平和音楽祭に出演し、平和を祈る「一本の鉛筆」を歌った。真夏日の暑さの中、冷房の控室に入るのを断り、「広島の人たちはもっとあつかったんでしょうね」と語ったという。そんなエピソードが残る名曲を、華原朋美さんが澄み切った歌声で会場に響かせた。
大腿(だいたい)骨骨頭壊死(えし)と肝臓病で3カ月の闘病生活を経た後の88年には、東京ドームで復活の「不死鳥コンサート」を開いたひばりさん。事前に医師に「プールの中で歌う苦しさ」と言われていたが、当日は39曲を歌い、100メートルの花道も歩ききった。EXLIEのSHOKICHIさんは、その伝説の公演のオープニングを飾った「終りなき旅」を、情感豊かに歌い上げた。
また「ひばりさん史上、最も高音」とされる「みだれ髪」は五木ひろしさんが熱唱。この曲は、今年2月に亡くなった作曲家、船村徹さんが不死鳥コンサートの直前に手がけた名曲。五木さんは歌い終えた後、「ひばりさんが必死の思いで歌った東京ドームの姿が目に浮かんだ。ひばりさんへのいろんな思いがこみ上げてきた」と声を震わせた。
最後に出演者が全員がステージに登場し、「愛燦燦(さんさん)」を熱唱した。
コンサートは東日本大震災や熊本地震の復興支援も兼ねたチャリティーコンサート。公演の模様は10日、TBS系列で午後7時から放送される。(河村能宏、江戸川夏樹)