矢野治死刑囚が警視庁に送付した文書などをもとに斎藤衛さんの遺体が見つかった現場付近=2016年9月、埼玉県ときがわ町
死刑囚の供述に基づき、埼玉県の山中から不動産会社社長の遺体が見つかった事件で、警視庁は10日、元住吉会系暴力団組長の矢野治容疑者(68)=別の殺人事件で死刑判決が確定=を殺人容疑で逮捕した。「今の段階では黙秘します」と話しているという。
組織犯罪対策4課によると、矢野容疑者は1998年4月8日ごろ、顔見知りだった不動産会社社長の斎藤衛さん(当時49)を東京都豊島区のマンションで殺害した疑いがある。
矢野容疑者は、2003年に前橋市のスナックで4人を射殺したとする殺人罪などで14年3月に死刑判決が確定。同年9月と12月、「金銭トラブルがあった斎藤さんの首を絞めて殺害し、知人に遺体を遺棄するよう頼んだ」とする内容の文書を警視庁に送っていた。同課は昨年11月、文書やこの知人らの証言をもとに、埼玉県ときがわ町の山中で白骨化した斎藤さんの遺体を発見した。死体遺棄罪は時効が成立している。
矢野容疑者はこの事件とは別に、15年5月と6月にも警視庁に文書を送り、神奈川県の男性(当時60)の殺害にも関与したことを告白。「96年ごろ、知人に指示し、男性を殺害させた」とする内容で、同庁は知人らの証言から昨年4月、同県伊勢原市の山中で男性の遺体を発見した。死体遺棄罪は時効が成立しているが、同庁は矢野容疑者らに対する殺人容疑での捜査を続けている。