メジャー初制覇を達成し、ガッツポーズをするセルヒオ・ガルシア(スペイン)=ロイター
勝利の一打がカップ左端からくるりと回って吸い込まれた。プレーオフ1ホール目、18番グリーンを幾重にも取り囲む観客が一斉に立ち上がる。逆にガルシアはしゃがみ込みながら、雄たけびを上げた。メジャー通算74試合目、ついに悲願をかなえた。
ガルシアが初優勝、松山は11位 ゴルフマスターズ
ともに首位で出たリオデジャネイロ五輪優勝のローズと一騎打ちになった。後半に入り連続ボギーをたたき2打差がついた。弱気になってもおかしくなかった。パー5の15番。残り192ヤードの第2打をピンに当てるスーパーショットでイーグル。再び追いついた。
ガルシアは1996年の全英オープンに16歳でメジャー初出場。「エルニーニョ(神の子)」の愛称で「欧州のウッズ」とも呼ばれた。マスターズでも99年の初出場時にローアマチュアに。しかし、過去18回の出場で4位が最高など大舞台には縁がなかった。
くしくも、この日は2011年に亡くなったセベ・バレステロスさんの60回目の誕生日。超攻撃的なスタイルで、ゴルフ後進国だったスペインから初めてマスターズを制し、オラサバルやガルシアが続いた。
最後のバーディーパットは約4メートルの難しい下りライン。先にローズはボギーで、無理する必要はなかった。それでも、決めにいった。「心の中に何回か彼が出てきて、助けてくれた」とガルシア。偉大な先輩のように攻め切り、勝者のグリーンジャケットを羽織った。(森田博志)
■松山、最後に意地
最終日にようやく60台を出した松山は「ティーショットが安定し、アイアンもチャンスにつけられた」。四つあるパー5ですべてバーディーを奪った。特に13番と15番はともにツーオンしてイーグルチャンスにつけ、ショットがさえた。「遠かったら3パットするんで、その分、(ピンそばに)ついてよかった」。パットの不調で優勝争いに絡めなかったが、世界ランク4位の意地はみせた。