昨年3月、アルファ碁は韓国のイセドル九段(右)に4勝1敗で圧勝した(ソウル、英ディープマインド社提供)
米グーグル傘下の人工知能(AI)開発会社・英ディープマインド社は10日、同社のAI「アルファ碁」が、世界最強と評される中国の柯潔(かけつ)九段(19)と5月に三番勝負をすると発表した。囲碁界では昨年来、急激な進化を遂げるAIがトップ棋士を圧倒してきたが、公の場での柯との対局は初。人間とAIの決戦に注目が集まる。
対局は5月23~27日、グーグルが中国政府などの協力を得て中国浙江省・烏鎮で開く「未来の囲碁サミット」の目玉として打たれる。優勝賞金は150万ドル(約1億6600万円)。柯は2015年、17歳四段で世界戦に初優勝。以後数々の世界タイトルを獲得し、10代の若さで世界最強とうたわれてきた。
一方のアルファ碁は昨年3月、世界ランカーの韓国・李世乭(イセドル)九段(34)を4勝1敗で圧倒。それまで人間とはハンディ戦で勝負していたAIの急伸ぶりで世界を驚かせた。昨年末から年始にかけてはアルファ碁の進化版が非公式のインターネット対局で試され、持ち時間が1手数十秒の早碁ながら柯らトップ棋士に60戦全勝した。
今回の持ち時間は3時間で、早碁よりも人間に有利に働く。10日、北京での記者会見で柯は「対局は非常に光栄。アルファ碁は未来から訪れた対局相手とも呼ばれるが、必勝の気持ちを持っている」と述べた。
「サミット」ではアルファ碁とトップ棋士5人チームとの対局や、棋士とアルファ碁がペアを組む「ペア碁」も予定されている。(大出公二)