IBMがつくったワトソンのアバター(分身となるキャラクター)(日本IBM提供)
かんぽ生命保険は11日、入院、手術などに応じた保険金の審査に、日本IBMの人工知能(AI)「ワトソン」を導入したと発表した。富国生命保険などが業務の一部に使っているが、保険会社の中心業務の保険金審査にAIを本格活用するのは国内初という。
入院や手術の際に支払われる保険金の額は、けがや病気の場所や程度、手術のやり方で大きく変わる。ワトソンは、過去の診断書と保険金の支払い結果など、約500万の事例を記憶している。提出された診断書と似た過去の事例を見つけ出し、「何%程度似ている」という判断とともに担当者に示す。
かんぽによると、年間の保険金請求は約250万件。うち約10万件は判断が難しく、経験が5年以上ある約200人の社員にしか審査できなかった。期限に間に合うよう残業するなど負担が集中していたが、ワトソンを使えば、経験が浅い社員も難しい案件を審査できるようになるという。
ワトソンは人間の言葉を理解するAI。米国のクイズ番組に挑戦するためにつくられ、コールセンターや病気の診断などに活用されている。(上栗崇)