前列左から角野卓造さん、江守徹さん、渡辺徹さん==12日、東京都港区の明治記念館
女優の故杉村春子さんらが輩出、今年創立80周年を迎える老舗劇団の文学座が12日、東京都港区の明治記念館で記念祝賀会を開いた。劇団代表の江守徹さん(73)、角野卓造さん(68)、渡辺徹さん(55)ら座員や演劇評論家など約550人が出席した。
江守さんは「80周年、心から感謝します。1年1年を大事にしていかなければ100年を無事に迎えることはできません。100周年記念で皆さんにお目にかかれることを願っておりますが、私は難しいでしょう」とあいさつ、場を沸かせた。
祝賀会の前、取材陣に文学座の魅力について、江守さんは「若い人でも自分がやりたい芝居を素直に運営委員に伝えることができる。そういう人たちの声をよくきくことができるのが文学座の良さ」、角野さんは「レパートリーの幅広さ」、渡辺さんは「風通しの良さ」を挙げていた。
文学座は1937年9月、久保田万太郎さん、岸田国士(くにお)さん、岩田豊雄さんの3人の文学者の発起で創立された。付属演劇研究所の卒業生は3千人を超え、松田優作さんや桃井かおりさん、内野聖陽さん、寺島しのぶさんらが育っている。
杉村さん主演の「女の一生」は戦時下の1945年に初演、947回の主演を重ね、文学座の代表作となった。(山根由起子)