(14日、中日3―2巨人)
両手を広げた中日のゲレーロが、仲間の輪に包まれた。十二回、2死二、三塁から左前へサヨナラ打。「これまでチームに貢献できていなかった。本当に最後の最後に打てて、とてもうれしい」と喜んだ。
キューバ出身の30歳は、苦しんでいた。前日までの打率は2割3分9厘。特に得点圏打率は1割3分3厘で、決定打を欠くチームが低迷する一因にもなっていた。3番打者としての役割を果たせないことに責任を感じ、「悔しかったし、家に帰ってから叫びたいときや、眠れない日もあった」と言う。
この日も、好機で打席が来る。十回は亀沢が送りバントを決めて2死二塁のサヨナラ機を作ったが、一邪飛に倒れた。十二回は2死走者無しからの連打で再び決定機が巡って来た。「とにかく、しっかりとボールをとらえることだけを考えた」。真ん中に来た直球をはじきかえす。これまでのうっぷんを晴らす一打に、「スランプだったので本当に大きい。今夜はよく眠れそう」と笑った。
2015年には大リーグで年間11本塁打を放っているゲレーロを、辛抱強く起用し続けている森監督も一安心。「本人も悔しかったと思う。でも、日本に来てルーキーだからね。これで少しでもいい方に向かってくれればいい」。普段のホーム用と違う、「昇竜」ユニホームを着た夜の一打で調子を上げていきたいところだ。(上山浩也)