米メディア大手の21世紀フォックスは19日、「FOXニュース」の看板キャスター、ビル・オライリー氏(67)の降板を発表した。同氏をめぐるセクハラ疑惑の発覚後、大手企業による番組へのCMの取り下げが相次いでいた。
同社は、申し立てについての「注意深く徹底的な調査」を経て、両者が降板で合意したと発表。一方、同氏は「完全に事実無根の申し立て」と疑惑を否定した上で、「(同社と)たもとを分かつことに落胆している」との声明を出した。
同氏は、人気番組「ザ・オライリー・ファクター」のホスト役で、ケーブルニュース番組としての最高視聴率を繰り返し獲得。保守的な論調で支持を集め、保守派への影響力が大きい。
昨年の大統領選では、主要メディアがトランプ氏に懐疑的な立場をとる中、FOXニュースは支持する傾向が強かった。オライリー氏の番組にもトランプ氏は出演していた。
しかし今月に入りニューヨーク・タイムズ紙が、女性5人からセクハラを訴えられ、同氏と同社が2002年以降、計1300万ドル(約14億円)の示談金を払っていたと報道。同氏の去就が注目されていた。
FOXを巡っては昨年も会長兼CEOだったロジャー・エイルズ氏が元女性キャスターからセクハラ関連の訴訟を起こされた末に辞任している。(ニューヨーク=金成隆一)