総務省は20日、テレビのネット同時配信にかかる費用の試算を初めて公表した。各社が配信システムを共同で使うケースでは、システムをつくる初期投資が1社あたり7500万円、年間の運用コストは2100万円ほどとした。NHKは単独での導入を想定し、「初期投資に50億円、運用に年100億円未満」との見通しを示していた。
NHK会長、民放配信システムの利用示唆 「選択肢に」
総務省の有識者会議が、電通総研などの調査を元に試算した。同時配信が実現しても、視聴者がスマートフォンやパソコンで番組を見る平均時間は1日7・4分にとどまると予想。初期投資の試算額がNHKの見通し額の1・5%ほどに収まったのは、システム共通化の効果に加え、利用予想に合わせた最低限の投資額を見込んだためだ。
各社が独自にシステムを作る場合、初期投資は3億2600万円、年間のコストは1億5100万円に膨らむという。この日の有識者会議では「NHKと民放が共通のシステムをつくり、今のテレビに近い視聴環境を整備するべきだ」(日本総研の大谷和子法務部長)といった声も出た。(上栗崇)