土星の近くを通過する探査機カッシーニの想像図(NASA提供)
米航空宇宙局(NASA)の土星探査機カッシーニが近く、土星に落下する軌道に入り、13年間にわたった観測を終える。カッシーニはこれまで、土星の輪や表面のしま模様の詳細な画像や、衛星エンケラドスに生命が存在可能な環境があることを示唆するデータなどを地球に送ってきた。
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NASAによると、カッシーニは22日午前(日本時間同日午後)、衛星タイタンに約980キロまで接近。タイタンの重力を使って軌道を変え、26日には、土星の表面と最も内側の輪の間を通る軌道に入る。その後、土星を22周し、9月15日に表面を至近距離から観測しながら落下し、役割を終える。
カッシーニは、1997年10月に打ち上げられた。2004年に土星軌道に入り、本格的な観測を開始。当初予定した4年間の役回りを終えた後、2度にわたり期間を延長した。燃料が少なくなっており、制御不能になる前に処分する。
エンケラドスなどに落下すると、機体に付着している可能性がある地球の微生物が環境を汚す恐れがあり、それを避ける目的もあるという。(ワシントン=小林哲)