「ご注文の靴、からっと揚がりましたよ」。ネットユーザーがこんな風にユーモラスに表現するのは、ケンタッキーフライドチキン(KFC)とコンフォートシューズブランド・Crocs(クロックス)が共同で打ち出したコラボサンダル「KFC X Crocs Bucket Clog」。同商品はこのほど中国国内で販売開始となった。フライドチキンの柄がプリントされているほか、サンダルの上部には本物の匂いまで再現したかのようなフライドチキンが飾りとして付いている。北京青年報が報じた。
KFCは今年2月には早くも、Crocsとコラボして斬新な「KFC X Crocs Bucket Clog」サンダルを打ち出すことを発表し、ニューヨークファッションウィークで初披露していた。サンダルの表面にはリアルなフライドチキンがプリントされ、ソールは赤白ストライプのチキンバーレルのデザインで、かかとの部分には「カーネルおじさん」も描かれている。アッパー部分に付いている取り外し可能なフライドチキンは揚げたてホカホカのように超リアル。あまりにも本物そっくりであるため、公式サイトの宣伝にはわざわざ「Do not eat(食べないで)」と注意を促す言葉が書かれている。
この斬新なデザインはすぐに人々の注目を集めた。CrocsとKFCのコラボサンダルはこのほど、Crocsの公式旗艦店でついに限定発売され、価格は499元(1元は約15.37円)。今回一般向けに発売されたのはフラットソールタイプのみ。海外メディアによると、発売から30分で完売し、中古靴専用サイトでは既に価格が高騰。値段は1足200ドル(1ドルは106.72円)まで吊り上げられている。
ファッションブランドと飲食ブランドの枠を超えたコラボは近年、決して珍しいことではない。例えば、今年5月、スポーツブランドのNike(ナイキ)と、人気アイスクリームショップ・Ben & Jerry's(ベン & ジェリーズ)がタッグを組み、人気フレーバー「チャンキーモンキー」をイメージしたデザインのコラボスニーカーを発売した。青空や白い雲、草原、ミルクなどを思わせるBen & Jerry'sの特徴的な要素がスニーカーのアッパーやソール、かかと部分、接合部などにデザインされており、ポップなビジュアルとなっている。側面のナイキロゴ「スウッシュ」は、今回のコラボをPRするようなアイスとバナナピューレが滴るようなデザインだ。人気歌手の周傑倫(ジェイ・チョウ)や男性アイドルグループ「UNIQ」のメンバー・王一博(ワン・イーボー)、人気歌手の鹿晗(ルハン)などがSNSでこのコラボスニーカーの画像をアップしている。この限定版スニーカーは一時、1足数千ドルまで値段が吊り上げられたという。そして中国でも、定価1000元以下のこのスニーカーが1万元前後でやり取りされている。
その他、Nikeはスターバックスとも2018年にタッグを組んでコラボスニーカーを打ち出している。ナイキの人気スニーカー「DUNK」をオールレザー素材でアンティークに仕上げ、ブラウンのウォッシュレザーを採用してドリップしたてのコーヒーをマーブル調に表現し、コラボのテーマに呼応させている。
どんなブランドともコラボレーションすることで話題をさらっているファッションブランド・Supreme(シュプリーム)が、2020年の春夏コレクションで「話題づくりのパートナー」として選んだのは、誰もがよく知っているチョコレートクッキー「オレオ」。人民元換算で定価60元ほどのレッドベルベット味のクッキーが今や、オークションサイトで超高額でやり取りされている。
ファッションブランドがファーストフードブランドやコーヒーブランド、グルメブランドとタッグを組むことに熱心なのは、ミレニアル世代の日常の生活要素に目を付け、コラボを通して同世代の評価を得て、相互コミュニケーションをしようとするものだ。業界関係者は、「どれほど売れるかは重要でなく、限定版や超高額などもマーケティング手段にすぎない。最も重要なのは、存在感を示して覚えてもらうことだ」と分析している。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年8月13日