国内に初めて誕生したスピード専用壁
2020年東京五輪の追加競技に決まったスポーツクライミング。五輪では「スピード」「ボルダリング」「リード」の複合で争うが、その「スピード」の専用壁が東京・昭島市に誕生した。競技会で使える施設は国内初。リード、ボルダリングでは世界屈指の実力を持つ日本勢だが、強化が遅れるスピードは、最も苦手とする「アキレス腱(けん)」だ。新施設の誕生に関係者の期待は膨らむ。
スピードは、高さ15メートルの壁を登る速さを1対1の対戦形式で競う。世界記録は男子が5・60秒、女子が7・53秒。滑り止めのチョークを手に付けただけで、ものの数秒で駆け上がる。
今回完成した壁は4人が同時に練習できる仕様だ。オープニングイベントに招かれたこの種目の女子世界ランク1位、アノック・ジュベール(仏)は「私の国にもこんなに大きなスピード壁はない。私がここで練習したい」と持ち上げた。
東京五輪のスポーツクライミングは、1人の選手がスピード、ボルダリング、リードの3種目を順にこなし、それぞれの順位をかけ算する。その数字が小さいほど上位になる。日本はボルダリングのワールドカップで、国別ランキングは昨年までで、3年連続1位と目下敵なし。リードも昨季は世界4位につけた。
ただし、スピードだけはコーチ陣が「事実上圏外」と苦笑する。インドネシアや韓国より下位の世界15位と出遅れている。
スピード壁に取り付けられてい…