3月4日のFC東京戦。ドリブルで前進するFC東京の中島(右)を止めようとする大宮の選手ら
J1で昨季5位と躍進した大宮が、いまだ勝ち星がない。開幕から6連敗し、前節の今季7戦目の清水戦は引き分け。次節は21日。開幕8戦未勝利だと、7割近い確率でJ2に降格するという不吉なデータもある。降格の危機を何度も乗り越えた「落ちない大宮」の底力が試されている。
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ようやく勝ち点1を手にした16日の清水戦では、これまで出場機会が少なかった選手たちが躍動した。前半6分にMF江坂のゴールで、今季初めて先取点を奪ったが、疲れが出た試合終了間際に追いつかれた。攻守のつなぎ役のMF茨田は「連敗から一歩進めたが、1点取った後の試合運びは反省しないといけない」と、逃げ切りに失敗したもどかしさを口にした。
■戦い方見えず
昨季は堅守速攻を持ち味に、34試合で8敗(15勝11分け)。その戦術を土台に、今季はボール保持率を上げる戦い方で、9位以上を目標にしている。しかし、現在は6敗1分け。この間、計11失点と守備に大きなほころびは見つからないが、攻撃面ではわずか2得点。MF長谷川が「最後の場面で精度が足りない」と語るように、ボールを支配しながらも決定力に欠けた。
昨季11得点のFW家長らが、移籍で抜けた穴を埋めきれていない。J2で昨季18得点を挙げたFW大前を獲得したが、いまだ無得点。チームは今季5試合目の鹿島戦で、守備を固める戦術にかじを切った。それでも連敗は止まらず、続く6戦目の神戸戦は0―2。試合後、渋谷監督が「この6連敗の責任を感じている。色々なことを考えないといけない」と辞任をほのめかす事態に陥っていた。
■J2降格の足音が
次節も勝てず、開幕から8戦連続未勝利になると、チームを取り巻く雰囲気は重くなりそうだ。J1が18チームで争う方式になった2005年以降、開幕から8戦未勝利だったのは9例。うちJ2降格を逃れられたのは、千葉、広島、新潟の3チームしかない。
大宮は05年にJ1に昇格して以来、毎年のように降格しそうになりながら、残留できなかったのは14年の1度だけ。そのシーズン途中から指揮を執り、チームをJ1に戻し、昨季5位に導いた渋谷監督は言う。「清水戦で勝ち点1を取って良かったと、最後に笑えるようにしたい。勝利を目指しながら、引き分けを積み重ねるのがこれからのテーマ」
ガ大阪(21日)、浦和(30日)と上位陣との対戦が続く大宮。チームを立て直し、この試練を乗り越えることができるか。(富山正浩)
■開幕からの連続未勝利試合数
【13試合】
福岡(11年) 年間17位
【11試合】
千葉(08年)※15位
大分(13年) 18位
【10試合】
広島(06年)※10位
【9試合】
徳島(14年) 18位
【8試合】
福岡(06年) 16位
新潟(10年)※9位
札幌(12年) 18位
湘南(16年) 17位
(J1が18チーム制になった05年以降。※はJ1残留)