橋桁の再架設工事が進む現在の新名神橋桁落下事故現場=18日、神戸市北区、朝日新聞社ヘリから、筋野健太撮影
神戸市北区で昨年4月22日に架設中の新名神高速道路の橋桁が落下し、作業員10人が死傷した事故から1年。現場がある区間は開通の時期が延び、周辺の渋滞緩和や地域振興の期待は持ち越しに。工事現場ではほかにも事故が相次いでおり、有効な安全対策が求められている。
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■熟練工引退に懸念も
「事故が続発し、おわび申し上げる。さらなる安全対策を講じる」。NEXCO西日本の村尾光弘・関西支社長は昨年11月、大阪市内であった近畿2府4県の労働局との労働災害防止会議で再発防止を誓った。会議は労働局側が呼びかけた。橋桁の事故後も新名神の工事現場で事故が続くことを重く見た。
関西支社などによると、橋桁の事故後、新名神の全工事約70カ所で安全点検を実施。だが翌5月、大阪府箕面市で橋桁工事中に仮設の支柱が倒壊し、下を走る箕面有料道路をふさいだ。同年10月には兵庫県猪名川町で足場撤去中の作業員1人が転落死。ほかにも、高さ約4メートルの足場から転落して1人が重傷を負うなど、今年1月までに4人が重軽傷を負ったという。
工事現場で重大な事故が後を絶たないことについて、労働局幹部は「熟練作業員が引退し、安全に対するノウハウが引き継がれていない懸念が、建設業界にいま共通する課題としてある」と指摘している。
■開通1年延期、渋滞なお
開通延期になったのは高槻(大阪)―神戸間の約40・5キロ。西日本高速道路(NEXCO西日本)は今年3月だった開通目標を延期し、高槻―川西(兵庫)間の約23・6キロは今秋、残る神戸までの約16・9キロを来年3月とした。
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