児玉征史さんの通夜の会場に向かう人たち=横浜市内、飯塚直人撮影
川崎市川崎区の京浜急行の踏切で15日、同区の無職男性(77)を助けようとして、男性とともに電車にはねられて亡くなった横浜銀行勤務の児玉征史さん(52)=横浜市鶴見区=の通夜が21日夜、横浜市内で営まれた。神奈川県警はこの日、児玉さんへの感謝状を遺族に渡した。
救出中に死亡したのは銀行員の男性 川崎の京急踏切事故
参列者によると、会場に入りきらないほど多くの人が訪れた。約20年前に支店の上司だった70代男性は、融資業務の第一線で活躍した児玉さんのはつらつとした人柄が印象に残っている。「これからが楽しみな人だった」と残念がった。
支店でともに働いたという女性(50)は福島県から参列。宴会でのカラオケなどで盛り上げ役だった様子を覚えているという。「男女も上下も問わず尊敬されていた人。笑顔しか思い浮かばない」
高校が同じだった会社経営の男性(52)=茨城県=は事故現場で献花した後、通夜に向かった。21日は東京駅近くで同窓会を開く予定だった。児玉さんを含め10人ほどが参加予定だったが、事故で中止に。「会って話すのが楽しみだったのに」と話した。
神奈川県警によると、事故は15日午前9時10分ごろに発生。踏切を渡り終えていた児玉さんは、踏切内にいる男性に気づいて引き返し、腰のあたりをつかんで助けようとしたが、間に合わなかった。男性は家族に「死にたい」と漏らしていたといい、県警は自殺の可能性もあるとみている。(山下寛久、斎藤茂洋)