トランプ米政権は24日、不当な補助金を受けたカナダ産の材木が米国で安く売られているとして、平均20%の関税をかける仮決定を発表した。カナダ政府は反発しており、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を前に、両国の貿易摩擦が強まるおそれがある。
米商務省は、一戸建て住宅などに使われるカナダ産の針葉樹製材が、カナダ政府からの補助金を受けて米国で安く売られているとして、約3~24%の相殺関税をかける仮決定をした。同省が正式決定し、米国際貿易委員会(ITC)が認定すれば、適用が確定する。カナダ産の木材の輸入額は昨年で56億ドル(約6200億円)で、米国市場の約3割を占めるという。トランプ氏は25日、「カナダは何年も、我々の政治家を出し抜いてきた」と話した。
一方、カナダ政府は24日、「米国の主張は事実無根だ。米商務省の判断に強く反対する」などとする声明を出した。
トランプ氏は就任当初、NAFTAの再交渉でのカナダとの協議は「微修正」にとどまるとして、主にメキシコを批判していた。だが、最近は「カナダが我々の酪農家にしていることは不名誉なことだ」などとして、カナダへの批判を強めている。
ホワイトハウスは25日、トランプ氏がカナダのトルドー首相と電話会談し、乳製品や材木の問題について協議したと公表。「友好的な会話だった」と説明した。(ワシントン=五十嵐大介)